ゴールデンゲームズ観戦記

ゴールデンゲームズ(以下GGNと記す)行ってきました。今回は私の夢のひとつだったスポーツライター風にちょっと辛口でレポートしてみたいと思います。

 

例年に無く盛り上がりにかけたGGN2016

 そう感じたのは、私の期待が大きすぎたからだろうか。

 いや、ヨーロッパスタイルと呼ばれる応援(トラックの外側を囲んでいる広告板をたたいて応援する)の音がうるさいぐらいに聞こえる例年に比べると、確かに静かなままで終わってしまったような気がする。

 

 個人的に一番期待していた旭化成市田孝は、10000mで設楽兄弟や上野裕一朗に勝って優勝したし、その弟で今まで1位でテープをきったところをほとんど見たことがない市田宏が、5000mで一番でゴールしたシーンは印象に残った。その他、最後のレースで、学法石川高校の遠藤日向が高校新をねらって実業団の選手を従えて走る姿は、帰りかけた私の足を止めるには十分だった。そして、もちろんすべての選手たちはがそれぞれの目標に向かって、懸命の走りを見せてくれた。

 にもかかわらず何か物足りない気がしてならない一日だった。

 

もっと見たかった終盤の凌ぎあい 

 その日一番盛り上がったのは、女子5000mB組で終始トップを走った京セラの上田敏斗美を、地元宮崎銀行の中村祐希がラスト100mで逆転した瞬間だった。

 そしてそれと違う空気感ながら、観客の目に強烈に焼き付けられたのは、男子5000mC組で繰り広げられた国内実業団に所属する黒人選手たちの圧倒的なスピードだった。そのスピードにこの日の5000m日本人最高の服部弾馬の健闘も薄らいでしまった気がした。

 

 何か物足りない感じ、それは、日本人のトップクラスが黒人選手にも迫る勢いで凌ぎをけずり合い好記録が生まれるこの大会の醍醐味が、この日はほとんど味わえなかった、ということだったと思う。。

 

 市田孝も安定した走りで自己新で優勝こそしたが、記録は28分16秒台で最近のこの大会の記録には到底及ばず、目標だった五輪参加標準記録(28分0秒0)にも遠く及ばず、設楽兄弟や上野裕一朗の自滅によって勝てたようなものだった。ペースメーカーの「ついてこい。もっとあげろ」の声に必死にこたえようとする市田兄の形相に反して、なかなか上がらないスピードが、この日の日本人トップクラスの選手たちの力を象徴していたように思う。

 

 トップ中のトップを目指せ 

 今年のGGNは、この日出場しなかった旭化成の村山兄弟・鎧坂、早稲田大卒の大迫傑、そして佐藤悠基などの日本人トップの中のトップの選手たちの存在を、改めて浮き彫りにした大会となった。

 まあ、簡単に言うとこれらの選手が出なかったから、記録的にも勝負としても面白味に欠けた、ということだったと思うが、鹿児島の長距離ファンとしてはやはり、市田兄弟、大六野、有村、吉村の鹿児島県出身の選手はもちろん、この日出場した日本トップクラスの選手には、トップ中のトップを目指して頑張ってもらいたい。

 あの日本を代表する長距離大会の場で走れる幸せを、2倍にも3倍にも膨らませて味わうために!